【大衆演劇】全国27公演先を訪れた筆者が教える”観劇マナー”

芸 能

PexelsPixabayによる写真


専用劇場健康センターなど
大衆演劇を観ることができる場所は
全国で100ヶ所以上にのぼると言われています。


とはいえ、
実際に観劇を楽しんでいる人は
リピーターが大半を占め、

大衆演劇ファンに
“初めての観劇のきっかけは?”
と聞くとその多くが

“大衆演劇好きの友達に誘われて”

といった「紹介型」ばかり。


もちろん大衆演劇そのものを
知らない人も少なくないのが現状ですが、

ワイドショーやSNSで知って、
気にはなっているけど
 敷居が高い感じがして踏み込めない

という方も増えてきていることと思います。


ということでこの記事では、

北は横浜、三吉演芸場から
南は熊本、片岡演劇道場まで

全27カ所の大衆演劇公演先を巡ってきた筆者が

観劇の際に用意しておくものから、
観劇後の過ごし方まで、

大衆演劇の観劇マナーを
徹底解説したいと思います!

大衆演劇についてざっくりご説明


まず、観劇デビューの前に
大衆演劇について知っておいて欲しいことを
少し説明させてもらうと、

ほとんどの劇場・健康センターは
1ヶ月毎に公演をする劇団が変わる”ということ。

同じ公演先で同じ劇団を次に観ることができるのは
来年かもしれないし、一生無いかも分かりません。

その代わり、

ほとんどの大衆演劇では休演日がとても少なく

しかも、日替わり
公演内容(お芝居の演目や舞踊曲)を
変えている劇団・劇場も多く
毎日でも楽しむことが出来るというのが特徴です。


それと、

大衆演劇はお年寄りだけの娯楽
ではなくなっており、
学校帰りの学生さんから会社帰りのOLまで
幅広い年齢層の方が観劇を楽しんでいるということ。

もちろん地域によっても大きく変わってきますが、

だいたいどの地域どの公演でも、
性別、年代問わず色んな方がいらっしゃいます。

よほど目立とうとしていない限り、
行って”浮く”ということは無いでしょう。

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最後に、
大衆演劇というものは
“役者”と”客”の距離がものすごく近いです。

間近で観ることができる、
という物理的な距離も近いのですが

ひょんなことから一緒に食事をすることになったり
連絡先を交換するきっかけが急に訪れたりというような

人同士としての距離が
グッと縮まったように錯覚してしまうこともあります。

それでも所詮は“役者”と”客”
という事をしっかりと頭に入れておきましょう。


そうすることによって、

良い趣味として
長く楽しみ続けていくことが出来ます。

公演先・劇団の選び方


公演先の情報や
劇団の公演先に関することなどは、
インターネットで検索すれば
大体のことがわかります。


SNSやYoutubeなどで随時
情報を発信している劇団も多いため、

“観たい!”と思う劇団や役者を
先に見つけておくのも良いかと思いますが、

上でも言ったように
大衆演劇の劇団は1ヶ月毎に公演先が移動していくもの。

近くで公演しているとは限りません。

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その為、まずは劇団を問わず
自分の行動範囲の中や近くにある
大衆演劇場を訪れてみると良いでしょう。

「〇〇県 大衆演劇」「〇〇市 大衆演劇」

などとネットで検索すれば、
・場所
・料金
・時間
・休演日
など簡単に知ることが出来ます。


それ以外に、
最寄りの駅や終演時間などの
わからない事や聞きたいことがあれば

公演先に電話して聞いてみるもよし、

SNSを駆使して
その劇場を訪れている人に聞いてみるもよし。


決して、
新規を受け入れない世界
では無いのでご安心を。

チケット入手方法


大衆演劇は、
歌舞伎やコンサートとは違い

あらかじめチケットを入手しておく
という必要はほぼほぼありません。
(特別公演等を除いて)


その為、
基本的には席も決められておらず

一昔前の映画館のように、

ふらっと行ってチケットを買って
ふらっと空いた席に座って
観劇をすることが出来るのです。


ただし、
その日のお昼の部は絶対に観たい!
というような席の心配がある場合は、

座席予約を受け付けている劇場も多いので
電話で問い合わせをしてみると良いでしょう。
(各劇場等によって細かく決まりがある場合があります)

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そして、
チケット代は大体1,200円〜2,500円ほど。

チケット代が数百円程安い
「前売り券」という物も存在してはいるのですが、

多くの劇場・劇団では
公演中の幕間(休憩時間前)に
劇団員がリピーターの客に向けて、
手売りで販売している事が多いため

まずは「当日券」での入場になるかと思います。


特殊な例ですが、
稀に劇場前でおばちゃんが
「前売り券余っとるんやけど要らん!?」
などと声をかけてくる事も(笑)
その時は素直に正規の料金で売ってもらうと良いでしょう。

用意するもの・服装


大衆演劇を観るのが趣味なんです

と人に話すと、よく聞かれるのが、

おひねりとかするの?」という事。


普通、しませんのでご安心を。


劇団員さんとも顔見知りになって、
何年間も幾度となく通いつめたりしていても、

好きな役者さんの誕生日に
年に1度だけおひねりを付ける、
というような方のほうが多いので

使うお金は、
交通費チケット代
休憩時間のお茶代くらいなものです。

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服装は普段着で良し。

通いつめている人ほど、
エプロンつけたままクロックスで観劇
なんてこともありますし、

“推し”が見つかるまでは
オシャレする必要は無いでしょう。


ただバッグは小さすぎると困る事も。

思いがけず来場者全員プレゼントや
大入りのティッシュ
(お客さんがたくさん入ると舞台から客席へポケットティッシュが投げ撒かれる)
を持ち帰ることになることもある為、

手に持って帰るのは少し恥ずかしいかも。


あとハンカチティッシュ
持って行くことをおすすめします。

お芝居で思いがけず泣かされる事あり。

開演前の過ごし方


開演時間よりもかなり早めに
到着してしまったとしても、

開場時間となっていれば
好きな座席に座ってゆったりと待つ事ができます。


飲食可能な劇場も多いため、
・ご飯を食べて待つのも良し
・大衆演劇雑誌を立ち読みしてみるも良し
・携帯でぽちぽち時間を潰すも良し
・BGMの演歌を聴きながらうとうとするも良し
・目があったおばちゃんと話してみるも良し

驚くほどまったりとした時間が流れるのが
開演前の客席あるあるです。

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公演中の流れ


大衆演劇専用劇場ならば、

大抵の公演は
二部構成か、三部構成で仕切られています。


三部構成ならば、
「ミニショー(短い舞踊ショー)」(小休憩)
「お芝居」(口上挨拶)(休憩)
「舞踊ショー」(締めの挨拶)

二部構成ならば、
「お芝居」(口上挨拶)(休憩)
「舞踊ショー」(締めの挨拶)

というのがよくある流れです。


“チョンチョン”と拍子木の音がして
上から幕が降りれば休憩となるので、
安心して観劇してくださいね。

開演中の過ごし方


開演時間になると、

もちろん客席は暗くなり
照明がピカピカチカチカして
音が大きく鳴り響きます。

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そして大抵どの公演もはじめに
開演中の注意事項」がアナウンスされます。

携帯はマナーモードにしてくださいねー
写真撮影はお芝居のときは禁止ですよー
でも舞踊ショーの時は撮っていいですよーとか、
撮った写真をSNSにアップしないでくださいねーとか、
動画撮影は一貫して禁止ですよーとか。
お芝居中のお喋りはやめてくださいねーとか。

映画やミュージカルと同じようなこと。


これさえ聞いてちゃんと守っていれば
まず人に迷惑をかけることはほぼ無いでしょう。


それと、客席の多くのお客さんが
曲に合わせて手拍子掛け声をすることがあります。

どれもが絶対的な決まりごと、
ということはありませんので全然しなくても良し。


楽しくなってきたら同じように
曲に合わせて手拍子してみたりしても良いでしょう。


掛け声はよほど慣れている人以外がすると
舞台を台無しにしてしまう為、ひとまず
100回以上観劇してから検討してみましょう。


そして公演中に、どうしても
トイレに行きたくなったり
急用の電話がかかってきたりした場合は、
人の邪魔にならないようにロビーへ出ても良いです。

出来れば、
舞台上に人が居ないタイミング
(セット転換時や曲と曲の間)に、

ササっと出て、
同じようなタイミングでササっと同じ席に戻れば尚良し。


そのくらい気軽で良いのです。

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休憩時間の過ごし方


大衆演劇は公演時間が長いのも特徴で、
大体3時間半くらいは普通にあります。

とはいっても、

途中で1.2回は必ず休憩時間があるので
トイレが近くても大丈夫、という訳。


しかもこの休憩時間が、

役者さんが化粧をし変えたり
着替えたりする時間でもある為、

そこそこ長めの15分〜30分ほどある場合も。


要領がつかめてくると、
受付にちょっと出ます、と声をかけて
近所にあるコンビニへ行くなんてことも日常茶飯事。


むしろそのくらいしないと
暇だなぁ、と思うくらいだったり。

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終演後の過ごし方


ほとんどの大衆演劇の公演では、
終演後に「送り出し」と呼ばれる

劇団員が揃って、
劇場から出ていく観客をお見送りする
という行事がおこなわれます。
(コロナの影響で行なっていない場合もあり)


その際、
劇団員たちは自ら客に手を差し出し
当たり前のように「握手」をします。


そのまま握手会のように
劇団員たちと握手をして

良かったです〜」とか
楽しかったです〜」とか
また来ます〜」なんて言って

劇場から出ていくも良し、

推しが出来たなら
2ショットで写真を撮ってもらうも良し、
(もちろん無料)

仲良くなりたいなら
話題を見つけて雑談するも良し。
(独り占めしすぎは睨まれます)


この「送り出し」があることによって
“役者”と”客”との距離が
良くも悪くも近くなってしまうものなのです。

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してはいけないこと


もちろん他のお客さんの
迷惑になるようなことや、
舞台上での公演を妨害するようなことは
いけませんが常識の範疇ですよね。


そして、
「暗黙のルール」のようなものは、
ありそうで案外ないように思います。


写真を撮る時はフラッシュを焚かない、とか。
匂いのする食べ物は遠慮する、とか。

役者にグイグイ
連絡先をきいたりしない、とか?

客席で他のお客さんに
根掘り葉掘り素性を探ったりしない、とか?


“普通”に気を配れれば大丈夫かと思います。

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さいごに


様々な年代のお客さんがいるとはいえ
平日のお昼の部なんかはやはり
お年寄りが多いです。

困っている事があるようなら手を貸したり、

前をゆっくり歩いていたなら
急かさないようこちらも足並みを揃えたり、

“助け合える客席”
“居心地の良い客席”
は、

役者ではなく客が作るもの

だということを忘れずにいれば、

幅広い年代の良い観劇友達ができたり
行ったことのない場所へ行くきっかけとなったり、

長く楽しめる”良い趣味”にすることは
そう難しいことではありません。


その一方で、
大衆演劇はホストと変わらない
という言葉もよく聞かれます。


大衆演劇ファンですら
そう言われ共感してしまうほど、

役者に恋愛感情を持つ人は
年齢を問わずとても多いのが事実です。


推し”を作ることは
とても良いことです。


ですが
あくまで趣味として弁えることが
客としてのマナーだともいえるでしょう。

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何はともあれ、

興味が湧いたのなら大衆演劇
一度、経験してみる価値はあるかと思います。


アーティストや演劇のファンで
色々なショーの観劇歴が深い人ほど、

初めて大衆演劇を観たとき

「新しい世界」

と驚く姿を
筆者は何人も見てきました。


ぜひ、新しい世界のぞいて見ませんか?

わたしの舞台は舞台裏 大衆演劇裏方日記 (コミックエッセイ)
夢も涙も笑いもなんでもござれ、華やかな大衆演劇の世界を裏方の立場から見つめるコミックエッセイ。 義理と人情、失われつつある昭和の雰囲気を色鮮やかに描く、いままでにないコミックエッセイに仕上がりました。
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